花房観音(作家)

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2月×日 ここのところ、周りで「彼氏ができた!」「結婚します!」というおめでたい報告の出会いは、すべてマッチングアプリだ。

 特に驚いたのは、同い年の友人であるライター・中村淳彦の結婚報告だ。妻を病気で亡くしたあと、「ひとりで生きていたくない」とアプリで婚活をはじめたのは知っていたが、わずか半年で成婚し、しかも相手は同い年の上品な知的美人、なおかつ高収入の会社員女性だった。実際に私も会ったが、とても素敵な人だった。彼は正直、不安定な職業で、見かけも普通、口下手で女性に対して奥手で、年齢も50代、間違っても「モテる男」ではなかったから、衝撃を受けた。どうしてそんな彼が、わずか半年で再婚できたのか、謎だった。

2月×日 彼が出した本を読んだ。タイトルは「中年婚活 50歳、年収450万円からの結婚に必要な30の法則」(大洋図書 1650円)、自身の婚活体験をベースにした本だ。

 読了して、彼の結婚についての疑問が解消された。この本を女性である私が読んで痛快なのは、自分より上の世代に多い「男尊女卑思想に染まった男性」を、徹底的に否定しているからだ。いくつになっても若い女性を追いかけ、自慢話ばかりで、俺が俺がの自己主張ばかり、女性にマウントをとりたがる男性たち……リアルにもSNSにもわらわらいるおじさんたちが登場する。そんなんじゃ結婚できませんよと、筆者は説いている。婚活にあたって、外見を変えたり、お金をおしまず使えなどの細かいアドバイス以上に、根本的な意識改革が必要だと強い言葉で書いてある。

 婚活の本ではあるけれど、これから生きていく上で、「嫌われるおじさん」にならない心得が書いてあるので、婚活など求めてない男性にも読んで欲しい。著者自身が、「ありのままの自分で戦わない」と決めて、周りの女性たちのアドバイスに耳を傾け、行動力を発揮し、幸せな第2の人生を手に入れた様子を目の当たりにしているからこそ、多くの人にすすめたい本だ。

【連載】週間読書日記

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