映画、舞台、市街劇も…寺山修司の衰えない人気の秘密
どんな人気作家でも亡くなった後は次第に読者を失い、本屋の棚から著書が消えていくのが世の常だが、没後34年の寺山修司の人気は衰えるどころかますます盛んになっている。長編小説「あゝ、荒野」が映画化され、年内に公開予定。8月には寺山修司記念館がある青森・三沢市で大掛かりな市街劇が予定されている。
「詩人、歌人、脚本家、映画監督、演出家、競馬評論家etc……とマルチに活躍した寺山の多面性と時代を超えた感性の鋭さが若者たちをひきつけているのでしょう」(演劇ジャーナリスト・山田勝仁氏)
舞台では、演劇実験室◎万有引力「身毒丸」(演出・音楽=J・A・シーザー、3月16~19日、世田谷パブリックシアター)、青蛾館「中国の不思議な役人」(演出=松村武、3月17~22日、東京芸術劇場シアターウエスト)が相次いで上演される。
前者は蜷川幸雄演出で知られるが、これは1978年に寺山修司率いる「天井桟敷」が上演したオリジナル版をベースに、琵琶、二十五弦箏、声楽家、ロックバンドなど、演奏・俳優陣60人余による壮大な和製ロックオペラ。
後者は77年に西武劇場で初演された作品で、09年に平幹二朗主演で再演。今回はオリジナル「身毒丸」の主演だった若松武史、池田有希子、石井愃一ら人気俳優をメーンに総勢35人が出演。美少女と不死の役人の奇怪な恋物語をスペクタクルな音楽劇にした。どちらも見逃せない舞台となりそうだ。