「日本の恥」と罵られ 内藤大助に火を付けた34秒KOの屈辱

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 WBC世界フライ級王座を5度防衛し、7年前に引退後は解説者、タレントやボクシング解説者として活躍中の内藤大助さん(43)。15年間にわたる現役生活の中で闘争心に大きく火をつけたのはタイで行った世界タイトル初挑戦だった。

 ◇  ◇  ◇

 敵地タイでWBC世界フライ級王者、ポンサックレック・シンワンチャーに挑戦したのは2002年4月19日でした。これはその時の試合前、現地で撮影したトレーニング写真です。当時、27歳。プロデビューが22歳と遅咲きだったため、無敗記録を残しながらも出遅れ感のある世界タイトル初挑戦でした。わずか21歳でWBC世界ミニマム級王者になった井岡(一翔)君とはまったく違う、泥臭い道を歩んでいたんです。

 その後、3度グローブを交えることになるポンサックレックは全盛期を迎えていて前評判は圧倒的にボクに不利。もとよりアウェーですしね。試合はタイではよくありがちな屋根だけついてる屋外リングで、気温は40度を超えていました。

 そんな悪条件の中で練習を徹底して行い、準備は万全。東京だけでなく生まれ故郷の北海道・豊浦からも後援会長以下20人ほどの応援団がツアーを組んで現地に来てくれました。ところが、ゴングが鳴ってわずか34秒。1Rで失神KOでリングに沈んでしまったんです。開始早々はイメージ通り。23秒過ぎに最後に放った大振りの右アッパーも、何百回となくスパーリングで繰り返して体に覚えさせた作戦だったのに。

 それまでは21戦して14KO(TKO含む)、7判定勝利のハードパンチャー。しかも、163センチの身長の割にリーチは172、3センチもあって、相手が想定するよりも腕が伸びる。それでアッパーで威嚇し、ポンサックレックがひるんだところへ追い打ちの左右連打を畳み掛ける作戦でした。

 でも、ポンサックレックはビビるどころかアッパーを巧みにかわして逆に前に踏み込み、強烈な左フックをカウンターでかぶせてきた。それを顎にまともに食らってしまったんです。

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