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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

エンタメの製作者どもは「核爆発」をただのゲームのように思っている

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「猿の惑星」は核戦争で破滅した地球だったという結末だが、キノコ雲のおぞましい画面は現れなかった。それがいつの間にか、ハリウッドの映画製作者たちは核ミサイルを撃って爆発させる場面を平気で描き出した。「ターミネーター」では審判の日などというふざけた設定で悪夢の画面を登場させた。娯楽モノで核爆発を見せ物にする映画は犯罪に近い。気分が悪くなる。「インデペンデンス・デイ」という劇もどきでは地球に巨大宇宙船が現れ、タカ派の国防長官が核攻撃を命じ、失敗して下界の都市が全滅すると悔しそうにしていただけだ。ふざけた場面だった。「エイリアンVSプレデター」でも、米空軍が投下した核爆弾で市民やエイリアンが街ごと全滅される。エンタメの製作者どもは「核爆発」をただのゲームのように思っている。バットマンの「ダークナイト・ライジング」でも最後は核爆発だ。

 広島や長崎の遺族の心を逆なでするような場面をアメリカ映画は平気で描く。自国の戦争犯罪に何を学んだのかというより、核兵器は使うものと思ってるし、娯楽映画でなら何を描こうが構わないと思っている。若い客がそれを見慣れてしまうのは大問題だし、日本でも核保有どころか使用を認める政治家までいる。防衛費も倍増だ。若者よ、核爆発の映像に洗脳されたらあかんぞ。

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