米大学が研究 アルツハイマー病は“脳の感染症”が原因?

公開日: 更新日:

 そこで、アミロイドβが沈着した後では脳神経が死んでしまっているから効果がないので、「沈着前に投与していたら違った結果になるかもしれない」との考えから研究が進んでいます。が、その結果が出るのはまだ先の話です。

 そんな中、新たな説が注目されています。アルツハイマー病感染症が原因で、アミロイドβは脳内に侵入した病原体と戦う際に産出された物質だというのです。

 ハーバード大学の研究グループは、アミロイドβをたくさんつくり出すマウスと普通のマウスの脳に致死量の細菌を入れたところ、前者はアルツハイマー病患者にみられるようなプラークを脳に形成して、その中に細菌を閉じ込めて生き延びたのに対して、後者はプラークが形成されずに死亡したそうです。このことから、アミロイドβは脳の感染症に対抗するために必要な物質ではないか、と推測されるというのです。

 実は、アルツハイマー病が感染症ではないかという説は他にもあって、スペインの研究グループはアルツハイマー病の患者さんの遺体から真菌細胞やその関連物質を検出しています。別の研究では、アルツハイマー病の患者さんはヘルペスウイルスの抗体値が高いという研究もあります。さらには、抗菌薬を使うことで患者の症状が改善したという研究もあるようです。

 むろん、この「アルツハイマー病感染症説」はあくまでも仮説に過ぎません。ただ、これが本当なら、アルツハイマー病がわずかな年数の間に世界中で激増しているのもわかるような気がします。

【連載】当事者たちが明かす「医療のウラ側」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋