著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

便秘による下剤の使用と「心臓病・脳卒中」の関連性は…

公開日: 更新日:

便秘」はストレスや乱れた生活習慣が原因で発症することもあります。過去には女性において、便秘と心臓病の関連性を示した論文報告もあるようです。

 便秘自体が心臓病の直接のリスクかどうかは議論の余地がありますが、便秘を起こしやすい生活習慣が心臓病や脳卒中に関連している可能性はあります。

 日本人を対象に、排便回数や下剤の使用と、心臓病もしくは脳卒中による死亡の関連を検討した論文が日本疫学会誌(2016年5月号)に掲載されました。この研究は、文科省の支援で行われている大規模コホート研究(JACC研究)の登録者から、心臓病やがんを発症していない40~79歳の男女7万2014人が対象となりました。

 研究開始時(1988~90年)に、排便回数について「毎日」「2~3日に1回」「4日以上に1回」、また下剤使用について、「はい」「いいえ」で答えてもらい、排便回数及び下剤の使用と、心臓病/脳卒中による死亡との関連を2009年まで追跡調査しています。

 その結果、心臓病による死亡は、下剤の使用者で男性は56%、統計的にも有意に増加しました。女性は統計的有意ではないものの28%増加傾向でした。また、脳卒中による死亡は、下剤使用者で、男性は統計的有意ではないものの14%増加傾向、女性では27%統計的にも有意に増加しました。一方、排便回数と心臓病/脳卒中による死亡に明らかな関連性は認められませんでした。

 下剤の使用と心臓病/脳卒中による死亡リスク増加が示唆されますが、この研究結果においても、下剤の使用が原因なのか、便秘を誘発するような生活習慣が原因なのか、不明な部分もあります。

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