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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

猿や犬もついついマネ…なぜ「あくび」はうつるのか?

公開日: 更新日:

「あくびはうつる」というのは、皆さんも経験のあることだと思います。真面目なつまらない会議などで、誰かがこらえ切れずにあくびをすると、それを見ていたあなたも、つい同じようにあくびをしてしまう。よくある話です。眠くもないのにつられてあくびをしてしまうのはなぜでしょう? 

 たわいのない感じのするこの疑問ですが、実は最新の脳科学でも、研究が続けられているホットな話題でもあるのです。

 あくびがうつる、という現象は人間のみならず、チンパンジーや猿、犬でも認められていて、無意識に相手の動作のまねをする「反響現象」という名前がついています。これは赤ちゃんがお母さんのまねをする時に働く、物まね神経(ミラーニューロン)の働きによると考えられています。

 今年の生化学の専門誌に掲載された論文によると、あくびがうつるという仕組みは、脳の運動野という領域の興奮によるもので、それを抑える働きも脳にはあるのですが、いろいろな原因でその働きが弱まることがあるようです。

 面白いことに、あくびをしてはいけない、という指示をすると、かえってあくびはうつりやすくなることも分かりました。よく無意識にしている癖を、やらないように指摘されると、かえってやってしまう、ということがありますが、そこには科学的な根拠があったのです。

 人間の脳というのは、まだまだ不思議な働きが隠れているようです。

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