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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

7.7万人データを解析 青魚の脂は動脈硬化には効かない?

公開日: 更新日:

「サバやイワシなどの青魚の脂が健康に良い」という話はお聞きになった方も多いと思います。

 こうした脂には、オメガ3脂肪酸といって、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)という成分が含まれ、動脈硬化の進行を予防するような多くの作用が、実験的には認められています。また、「魚をたくさん食べる人は動脈硬化の病気になりにくい」というような報告もあります。そのために、その脂の成分を抽出したようなサプリメントがたくさん販売されていますし、中には医療用のものもあります。その効果は実際にどのくらいのものなのでしょうか?

 今年の米国医師会雑誌の循環器専門誌に、これまでのEPAやDHAの動脈硬化性疾患の予防効果をまとめて分析した論文が掲載されています。それによると、10の臨床試験の7万7000人以上のデータを解析した結果として、オメガ3脂肪酸のサプリメントに動脈硬化性疾患の予防効果は認められませんでした。

 一方で、2007年に発表された、日本人で行われた臨床試験の論文では、医療用のEPA製剤によって、脳卒中のリスクが2割低下していました。従って、「日本人では効果がある」という可能性は否定できないのですが、こうしたサプリメントを服用しているからといって、動脈硬化が予防できるとは考えない方が賢明だと思います。

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