著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

抗体製剤は予期していなかった副作用が表れる可能性がある

公開日: 更新日:

 近年、副作用の少ない抗がん剤もたくさん出てきています。特に「抗体製剤」に分類される薬がそれに当たります。

 抗体製剤とは、免疫システムの主役である抗体を主成分とした薬で、「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害剤」もその一種です。「薬」と「標的にする分子(ターゲット)」の結合する力が強く、標的を間違わずに認識することができます。そのため、余分な反応=副作用が少なく、目的の反応(抗がん作用)のみが発揮されるとても優秀な医薬品だと言えるでしょう。ただ、残念なことに、抗体製剤は今のところ標的となる分子の種類が少ない状況です。つまり、薬が使えるがんが限られている、もしくは同じがんでも標的分子の発現量によって、効くものもあれば効かない場合もあるのです。

 また、抗体製剤は総じて価格が高いという問題もあります。製造工程が大量生産に向かないため、どうしても高額になってしまうのです。

■非常に高額だが驚異的な治療成績

 抗体製剤の中でも、近年とりわけ騒がれているのが「オプジーボ」や「キイトルーダ」といった免疫チェックポイント阻害剤です。いずれも年間1000万円以上かかり、非常に高価であるということ。そして、全く新しい作用により、これまで抗がん剤治療をしても短命だった肺がんなどにおいて、驚異的に良い治療成績を挙げていることが話題になっている理由です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁