がんゲノム医療は日本人のデータベース構築が急務だ

公開日: 更新日:

「理化学研究所・生命医学科学研究センター」桃沢幸秀チームリーダー(40歳)

 遺伝子検査を実施して、その情報を基にがんの診断や治療を行うことを「がんゲノム医療」という。国内では2017年の「第3期がん対策推進基本計画」にゲノム医療推進の方針が盛り込まれ、国レベルでの体制づくりが始まっている。

 ゲノム医療を進めるには、遺伝子検査の結果を評価するための大本となるデータベースの構築が不可欠だ。同センターをはじめとする国際共同研究グループは、世界最大規模となる1万8000人以上のDNAを解析し、今年10月に「日本人遺伝性乳がんの『病的バリアント』のデータベース構築」を発表した。「病的バリアント」とは何なのか。本研究の中心人物である桃沢幸秀チームリーダー(顔写真)が言う。

「ヒトのDNA配列は30億の塩基対からなりますが、その配列の個人間の違いを『遺伝子バリアント』と言います。血液型、髪や目の色、運動神経、病気のなりやすさ、薬の効きやすさなどの個人差のうち、遺伝によるものは、この違いによります。そのうち、病気の発症の原因になるものを『病的バリアント』と呼びます」

 遺伝子バリアントは、親から子供に引き継がれた生まれつきのDNA配列の違いで、病的バリアントも遺伝する。がんの発生に伴う遺伝子変異(遺伝しない)とは別ものだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択