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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

私自身がんになって<5>放射線ではなく手術を選択した理由

公開日: 更新日:

 年末に早期の膀胱がんを自分で発見して、治療を受けました。腫瘍は15ミリで、粘膜の表面にとどまっていたため、内視鏡で切除しました。

 膀胱がんは、肉眼的、顕微鏡的な血尿が8割に見られます。それが早期発見のカギですが、私は陰性でした。これは例外的で、膀胱がんの症状で一番多いのは、「痛みのない血尿」です。菅原文太さんも血尿がキッカケで病院に来られました。

 文太さんは、検査の結果、2~3センチの大きさに進行した「浸潤がん」。がんのタイプも一番タチの悪い「グレード3」でした。別の病院で内視鏡でできるだけ残さず切除されていましたが、そのまま放っておくと再発はもちろん、転移する可能性も高く、膀胱全摘を勧められたそうです。

 膀胱を全摘すると、尿をためられなくなり、お腹に穴をあけてビニール袋に尿をためるのが一般的です。しかし、私の外来にセカンドオピニオンを求めに来られた文太さんは、診察室でこう言われました。

「立ちションベンができないようじゃあ、菅原文太じゃねえ!」

 そのビニール袋が「美的ではなかった」ことも、手術をためらった理由のひとつだそうです。文太さんの「切りたくない」という気持ちを察して、膀胱温存療法を勧めました。

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