著者のコラム一覧
名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

降圧薬を飲んでまで「血圧1番」を目指して頑張るべきか?

公開日: 更新日:

 白衣高血圧の人は血圧が正常の人と比べ、死亡リスクが1.79倍、心臓疾患による死亡リスクが1.96倍という結果を紹介しました。このデータをもう一度別の視点から検討してみましょう。比較の基準になっている血圧正常の人は全体の7%にすぎません。つまり100人のうちの上位7人と比べて2倍弱危険ということです。

 成績がトップ1割以内に入る人に比べて、2倍くらい成績が悪い。大学受験生で言うと難関大学に落ちる危険が2倍高いと言ってもいいかもしれません。合格確率が半分というほうがわかりやすいでしょうか。いずれにしても普通の受験生からしたら「成績がトップクラスの人と比べられてもなあ」というところではないでしょうか。東大や京大を目指している人と比べて成績が悪いと言われても、そんなの当然だよというところです。

 むろん、薬を飲むと東大・京大を目指す人たちと同じ成績になれると言われれば、薬を飲むという人も多いでしょう。実際、塾に通って頑張って勉強して、というのは薬を飲んでいるようなものかもしれません。そう考えると、これだけ塾まで行っても難関大学へという世の中を考えると、みんな降圧薬を飲むというのが現在の社会かもしれません。

 しかし、塾まで行って東大・京大へ行っても仕方がない、という世の中もあるのではないでしょうか。つまり、薬を飲んでまでして、血圧1番を目指すほど頑張らなくてもよいという社会です。皆さんはどちらの社会が生きやすいでしょうか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  2. 2

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  3. 3

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  4. 4

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 5

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  1. 6

    半世紀前のこの国で夢のような音楽が本当につくられていた

  2. 7

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 8

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 9

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  5. 10

    プロスカウトも把握 高校球界で横行するサイン盗みの実情