著者のコラム一覧
玉置妙憂看護師・僧侶

東京都生まれ、53歳。専修大学法学部卒業後、法律事務所に勤務。長男の重い病気が動機になり30歳の時、看護師資格を取得。46歳の時に、がん闘病の主人を自宅でみとった後、高野山真言宗に得度した。臨床宗教師としても講演、執筆活動を行っている。「大慈学苑」主宰。

「主人は今日、何を食べてくれるのかしら」

公開日: 更新日:

 そう語る玉置さん自身も、つらい介護経験を持っている。

 ご主人が原発「大腸がん」の術後、5年後に再発し、すい臓がん、胆管がんに転移した。カメラマンの主人は再発後のがん治療を放棄し、余命の3年を仕事にかけたのである。通院、入院を拒否し、自宅で仕事をこなす主人の介護に、玉置さんはやがて介護を楽しむようになった。

 毎日の食事では、玉置さんは主人に5種類ほどの食事を作ってテーブルに並べた。

 例えば、日本そば、うどん、カレー、チャーハン、野菜炒めなどである。

「さて、主人は今日、何を食べてくれるのかしら。ゲーム感覚で、私は多分この食事よと見当をつけていると、本当にその食事を選択してくれるの。“わあ、当たり”と声を出し、夫婦で笑い合うのです」

 長い介護期間に、こうした介護の楽しみ方も見つけだした。主人は自宅で現職の看護師夫人にみとられながら、62歳の生涯を終えている。

【連載】看護師僧侶「死にゆく人の心構えと接し方」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    金足農・吉田大輝は「素質は兄・輝星以上」ともっぱらだが…スカウトが指摘する「気がかりな点」

  2. 2

    【夏の甲子園】初戦で「勝つ高校」「負ける高校」完全予想…今夏は好カード目白押しの大混戦

  3. 3

    中央学院戦の「1安打完封負け」は全部私の責任です。選手たちにもそう伝えました

  4. 4

    参政党・神谷代表が予算委デビューでダサダサ提案 ムキ出しの「トランプファースト」に石破首相もNO

  5. 5

    金足農(秋田)中泉監督「やってみなくちゃわからない。1試合にすべてをかけるしかない」

  1. 6

    ドンが次々に退く“昭和の芸能界”の終焉…権力集中、ムラ社会化したいびつな世界だった

  2. 7

    ドジャース大谷翔平の突き抜けた不動心 ロバーツ監督の「三振多すぎ」苦言も“完全スルー”

  3. 8

    8.31に「備蓄米販売リミット」が…進次郎農相は売れ残りにどう落とし前をつけるのか?

  4. 9

    世耕弘成氏がもたらした和歌山政界の深いミゾ…子飼いの参院議員が自民から除名、“紀州戦争”の余波続く

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明