著者のコラム一覧
和田秀樹精神科医

1960年6月、大阪府出身。85年に東京大学医学部を卒業。精神科医。東大病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書多数。「80歳の壁」(幻冬舎、税込み990円)は現在、50万部のベストセラーに。最新刊「70歳の正解」(同)も好評発売中。

認知症の高齢者は脳トレよりも楽しく生きることが最も大切

公開日: 更新日:

 9月20日付の朝日新聞朝刊の第1面を見て時代を強く感じた。注目したのは記事ではない。広告である。下3段のスペースのすべてが認知症に関する書籍の広告だったのである。新聞社が広告企画として「認知症特集」を組んだ結果かもしれないが、認知症に関する書籍が数多く出版され、それを購入する読者が多いという背景があってのことなのだろう。

 ひと昔前には、これほどまでに「認知症」という言葉が各種のメディアに取り上げられることはなかった。ましてや、私が日本で初めての高齢者専門の総合病院である東京・杉並区の浴風会病院で精神科医として勤め始めた約30年前には、認知症という言葉さえなかった。侮辱的なニュアンスを含んだ「痴呆症」という言葉が一般的だった。その意味では、メディアを通じて認知症に対する社会の関心が高まったことは一歩前進と言ってもいいだろう。認知症の正しい理解の浸透にもつながった。

 だが、世の中に氾濫する認知症に関する情報には思わず首をかしげたくなるものがあることも事実だ。「認知症の進行を抑える」などのうたい文句で盛んに脳トレ、数独、パズルあるいは体操などを「認知症の特効薬」のように喧伝する医者がいる。その中には高齢者医療の臨床経験がきわめて乏しい医者が少なからずいる。何よりも問題なのは、そうしたプログラムを有料のセミナーなどでビジネス展開していることだ。エクササイズによって、トレーニングした項目のスキルは向上するが、認知症そのものの進行を遅らせるというエビデンス(科学的根拠)はない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    紳助暴行事件 衝撃の一部始終(2)

  2. 2

    紳助暴行事件 衝撃の一部始終(1)

  3. 3

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  4. 4

    2026年は米価が値頃になるのか? 昨年末には最高値更新も業界には先安感漂う

  5. 5

    「日吉湯」は大満足のスーパー銭湯風銭湯 15台分の駐車場も完備

  1. 6

    紳助暴行事件 衝撃の一部始終(3)

  2. 7

    NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」への“期待と不安”…第1話を見た時代劇研究家が語る

  3. 8

    “脇役中の脇役”仲野太賀に秀吉を補佐する弟・秀長はまさにハマリ役 NHK大河「豊臣兄弟!」スタート

  4. 9

    青学大・原晋監督も警戒! 早大総長の「2億円の置き土産」は来年開花するか

  5. 10

    矢沢永吉と郷ひろみ…NHK紅白で浮き彫りになった“待遇格差”の現実 視聴率35%回復も問題山積