著者のコラム一覧
関由佳医師・料理家

専門は内科、予防医学。2013年ニューヨークの料理専門学校(Natural Gourmet Institute)で資格取得。著書に「毎日食べたい!腸活みそレシピ」ほか

梅雨時の食欲減退を防ぐ洋風みそだし 胃粘膜を守る効果も

公開日: 更新日:

 日本各地が梅雨入りし、雨の多い季節となりました。そんな季節、気になるのがカビの繁殖です。

 しかし、実は、みその麹菌もカビの一種。高温多湿な気候の日本はカビが繁殖しやすい環境ですが、見方を変えれば、麹菌や酵母のような人間にとって有用なカビも繁殖しやすい環境ともいえます。そのため、日本では昔からみそや醤油、酢、日本酒など、麹菌が活躍する発酵食品がたくさん生まれました。

 腐敗と発酵の区別は、食べものや微生物の種類、微生物の代謝産物の違いによるのではなく、人間側の視点から分けられたものです。微生物の作用のうちの人間に有用なものを発酵、有害なものを腐敗と呼んでいるのです。前にも述べましたが、発酵がもたらす最大の効果は、発酵の過程で微生物の働きにより、ビタミンやアミノ酸、短鎖脂肪酸といった栄養成分が生成され、栄養価がアップすること。

 特に、みそに特徴的な褐色のメラノイジンは強力な抗酸化物質で、これが腸内や体内の酸化や老化を抑えてくれるのです。また、大豆のタンパク質はそのままでは吸収されづらいのですが、微生物が分解してくれることで、栄養素が体内に吸収されやすくなります。

 さらに熟成されることにより風味やうま味が増すほか、発酵させた食品や飲料は保存性が高まるというメリットもあります。腐敗の進みやすい魚介類や肉類を発酵によって保存性を高めたのは、まさに人間の英知なのです。

 さて、前にも述べましたが、みそ選びのポイントのおさらいです。私は、大豆、塩、麹だけで造られ、なおかつ6カ月以上、できれば1年以上長期発酵・熟成されたものを選びます。しっかり発酵・熟成していなければ、その恩恵を十分に得ることはできないからです。さらに、育つ環境も重要です。天然醸造のみそを選ぶことです。天然醸造という造り方は、みそを加温しないで発酵熟成させる方法です。昔から、みそはこの方法で造られてきました。

 自然環境の中で季節の寒暖の影響を受けながら育つみそは、時間こそかかりますが、そのゆっくりとした時間の中でうま味成分やメラノイジンといった人間の体にいい成分が熟成されていくのです。

 近年では、木樽の天然醸造で仕込んだみそを見かける機会がほとんどなくなってしまいました。日本の食文化の伝統を守る意味でも、この製法で造られたみそがオススメです。みそは全国津々浦々、産地も種類も豊富で、スーパーでもたくさんの種類のみそが販売されていますが、ぜひ表示をよく見て、シンプルな材料、長期熟成、天然醸造などの表示があるもので色が濃いものを選んでみてください。

 今回は、ジメジメしてなにかと食欲が落ちがちな梅雨の時季にも箸がすすむ「洋風みそだし」です。「だし」は山形の郷土料理で、夏野菜を細かく刻んで味付けしたもので、白いご飯にのせて食べる夏の風物詩のレシピです。本来は鰹だしのつゆなどで味付けするのですが、私はみそで作ってみました。

 みそを使うことで、ほんのり甘く、さっぱりと仕上げることができます。素材のひとつであるオクラのネバネバ成分が弱った胃粘膜を守り、夏バテを予防してくれます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意