著者のコラム一覧
清澤源弘自由が丘清澤眼科院長

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

児童虐待の可能性も…「眼底出血」で見分けがつくのか

公開日: 更新日:

 欧米では、親が子供を叱る時に子供の頭や顔を手で打つという行為は典型的な幼児虐待として強く忌避されてきました。その代わりに子供の肩を掴み、前後に揺さぶることがあったようです。そのような子供は脳に損傷を受けて、急性硬膜下血種や脳浮腫などを生ずる場合があります。そして、そのような子供の眼底には眼底出血を伴うことも多く、急性硬膜下血種、脳浮腫、眼底出血が揺さぶられっ子症候群の3兆候とされました。日本でこの概念が紹介された時には、親が子供を高く持ち上げたり揺すったくらいで脳に損傷など起きるものか? と思われたものでした。しかし、最近では乳児虐待例の存在が広く認知され、小児科医や救命救急医が急性硬膜下血種や脳浮腫に眼底出血を伴う乳児を見た場合には、乳児虐待を疑って児童相談所に通報することが求められるようになってきています。しかし、その判定が一般的になってしまうことで、容易に有罪判決が出てしまい、その後の上級審で、逆転無罪になるような事例が出ているのです。

 眼底出血は確かに揺さぶられっ子症候群に伴いやすい症状ですが、歩き始めの子供が軽く転倒するだけでも「中村1型」と呼ばれる乳幼児型の急性硬膜下血種が起きて、それが眼底出血を伴うこともあるといわれています。その症例が親による暴行かどうかという意見書を求められる眼科医としては、特に慎重な判断をしなくてはならないと知りました。

【連載】みんなの眼科教室 教えて清澤先生

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景