著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

病気による早期死亡は運動で回避できる 英国専門誌で論文

公開日: 更新日:

 運動健康によい影響をもたらすと考えられていますが、特定の病気に関連した死亡のリスク(たとえば認知症糖尿病による死亡)との関連性について、明確なことはよく分かっていませんでした。そんな中、身体活動とさまざまな原因による死亡リスクの関連性について検討した研究論文が、英国医師会誌の電子版に2020年7月1日付で掲載されました。

 この研究では、米国に在住している18歳以上の47万9865人が対象となりました。研究参加者の身体活動量は、不十分な身体活動量の人、有酸素運動(軽度~中等度の運動を週に150分以上、もしくは強度の運動を週に75分以上)を行っていた人、筋力強化運動(ウエートリフティングのような筋肉を強化するための運動)を行っていた人、有酸素運動と筋力強化運動の両方を行っていた人の4つのグループに分類され、さまざまな疾患による死亡のリスクが比較されました。

 なお、研究結果に影響し得る年齢、性別、喫煙・飲酒状況、慢性的な疾患の有無などの因子について、統計的に補正を行い解析されました。

 約9年にわたる追跡調査の結果、すべての原因による死亡リスクは、不十分な身体活動量の人に比べて、有酸素運動を行っていた人で29%、筋力強化運動を行っていた人で11%、両方を行っていた人で40%、統計的にも有意に低下しました。この傾向は、アルツハイマー型認知症、糖尿病、腎臓病、インフルエンザ及び肺炎による死亡リスクについても同様に示されました。

 身体活動量が多い人は、そうでない人に比べてもともと健常者が多かった可能性はあります。ただ、適切な身体活動は健康状態の維持だけでなく、さまざまな疾患による早期死亡のリスクを低減できる可能性が示されています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ