著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

日本の女性医師の社会的地位は男性医師より低いのか

公開日: 更新日:

 世界的に見ても、女性医師の割合は増加傾向にあります。ただ、米国で行われた研究によれば、女性医師は男性医師に比べて給与が低い水準にあると報告されています。

 このような性別による不当な扱いは、日本でも例外ではありません。2018年、東京医科大学が医学部医学科の一般入試で、受験者側に説明のないまま女子受験者の点数を一律に減点し、合格者数を調整していたことが報じられました。そんな中、日本における女性医師の社会的地位を調査した研究論文が、2020年7月1日付で、米国医師会誌が発行しているオープンアクセスジャーナルに掲載されました。

 この研究では、1980年から2018年までにおける、医学部および大学付属病院での教員の職階と男女の分布を調査しています。教員の職階は、一般的に助教、講師、准教授、教授の順で立場が高くなります。

 調査の結果、日本の女性医師数は年々増加しているものの、女性教授は1980~92年で2%未満、2004年以降も10%未満と低迷していました。また、2018年における女性准教授は13・1%、女性講師は16・8%と、女性の割合が顕著に低いことも示されています。逆に、女性助教は1995年以降、一貫して増加しており、2018年には29・7%に達していました。つまり、多くの女性医師の職階は男性医師よりも低いことが示されており、その状況は約40年にわたり、変化していないのです。

 これらの問題を解消するために、論文筆者らは女性医師の就労を支援する制度を確立すること、ロールモデルとなるような強いメンターを育成すること、女性医師のリーダーシップや研究スキルの向上を図ること、医学部の教員における女性医師の比率目標を設定することを提案しています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」