著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

たばこは月に何本までなら健康リスクを抑えられるのか?

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 喫煙は健康に良くないと思いつつも、なかなか禁煙できない人も多いと思います。禁煙ができないとしても、吸いすぎないように一日の喫煙本数を減らしている方もいらっしゃるかもしれません。喫煙本数が少なければ健康への害も少ない――そう考える人は決して少なくないことが米国で行われた調査で報告されています。

 喫煙頻度と健康への影響を検討した研究論文が、米国医師会が発行しているオープンアクセスジャーナルに2020年6月1日付で掲載されました。この研究では米国に在住している50万5500人(18~103歳)が対象となりました。研究参加者は喫煙状況に応じて、毎日喫煙する人(600本/月)、毎日ではないが喫煙する人(40本/月)、以前は毎日喫煙していたが現在は毎日喫煙していない人(75本/月)、喫煙しない人に分けられ、死亡リスクが比較されています。なお、研究結果に影響を与えうる年齢、性別、人種、教育水準、世帯収入などの因子について、統計的に補正をして解析しています。

 解析の結果、死亡のリスクは喫煙しない人に比べて、毎日喫煙する人で2・32倍、統計的にも有意に増加しました。また、毎日ではないが喫煙する人で1・82倍、以前は毎日喫煙していたが現在は毎日喫煙していない人で1・93倍と、喫煙頻度が毎日ではない人でも死亡のリスクが統計的にも有意に増加していました。

 この研究ではまた、1カ月の喫煙本数が6本以上で死亡リスクの有意な増加が認められています。したがって、喫煙本数が週に1本までなら健康へのリスクは小さいと思われますが、そこまで減らすのであれば、いっそのこと禁煙をしたほうがいいかもしれません。

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