がんに強い「ハイパーサーミア療法」は効果的で懐にも優しい

公開日: 更新日:

 そもそも温熱療法は京都大学医学部の菅原努教授が研究を開始し、その後、東京大学、国立がん研究センターなどの治験で、がんの病勢の抑制や患者生存期間の延長効果などが立証された治療法だ。

「42~43度以上の熱を長く加えると、すべての細胞は生き残れなくなります。それを回避するために正常細胞は周囲の血管を広げて血流を増やして細胞を冷却しようとします。ところが、がん細胞の周辺には急造のもろい新生血管しかないので、血管を拡張して十分な血流を確保し細胞を冷やすことはできません。つまり、がん細胞は正常細胞よりも早く加熱の影響を受けるのです。また低酸素細胞は、高酸素細胞よりも温熱に弱いことがわかっています。低酸素ながん細胞は放射線が効きづらく、そこに効きやすい温熱療法は放射線治療との相性が良いのです」

 温熱療法ががん細胞に効く理由はそれだけではない。細胞がエネルギーをつくるには2つの選択肢がある。細胞の周囲にある酸素を使うやり方と、酸素を使わないやり方だ。がん細胞は周囲の酸素の有無にかかわらず酸素を使わないやり方を選択する。そのためエネルギーをたくさんつくるには多くのグルコースの取り込みが必要で、結果として乳酸が増えてがん細胞は酸性化していく。酸性になればなるほど細胞は熱に弱くなるという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  2. 2

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    風そよぐ三浦半島 海辺散歩で「釣る」「食べる」「買う」

  5. 5

    広島・大瀬良は仰天「教えていいって言ってない!」…巨人・戸郷との“球種交換”まさかの顛末

  1. 6

    広島新井監督を悩ます小園海斗のジレンマ…打撃がいいから外せない。でも守るところがない

  2. 7

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 8

    令和ロマンくるまは契約解除、ダウンタウンは配信開始…吉本興業の“二枚舌”に批判殺到

  4. 9

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  5. 10

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か