著者のコラム一覧
清澤源弘自由が丘清澤眼科院長

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

トランプ大統領が推奨した抗免疫薬の新型コロナへの効果は?

公開日: 更新日:

【Q】 新型コロナウイルス感染症の予防にトランプ大統領が使用を勧めたと言われる「ヒドロキシクロロキン」を服用することは可能なのでしょうか?(32歳、母親)

【A】ヒドロキシクロロキンは抗マラリア薬として使用され、現在、日本では全身性あるいは皮膚エリテマトーデスの治療薬として認可されている薬です。

 これが、新型コロナウイルス患者の治療に効果があるとされたことから、トランプ大統領が予防的に内服を始める、と報じられました。しかし、その副作用が無視できないものであり、米国の食品薬品局(FDA)は猛反対していました。そして6月3日、ニューイングランド医学雑誌に「無作為化試験の結果、ヒドロキシクロロキンに新型コロナ感染症の予防効果は認められなかった」との記事が掲載されました。これで有効性に関する可能性が消滅した訳ではありませんが、ヒドロキシクロロキンの予防効果に対する希望は今後下火になるでしょう。

 ヒドロキクロロキンは、もともとエリテマトーデスの皮膚症状を改善するほか、筋肉痛や関節痛を緩和し、さらには倦怠感など全身症状をやわらげます。抗炎症作用や免疫調節作用により、炎症症状を改善します。かつて、クロロキン網膜症で薬害事件をもたらしたクロロキンは網膜毒性が強く、2・5 %に網膜症の発症を認めました。一方、クロロキンの代謝産物であるヒドロキシクロロキンは組織親和性が低いため網膜毒性も高くはなく、0・1%まで低下しています。ですから適量であれば長期管理薬としても比較的安全に使用できるのです。しかし、網膜毒性が「ゼロ」というわけではありません。投与開始前に服薬に問題ないかを確認してから投与を開始します。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い