無精子症のAI病理診断 男性不妊症治療の普及につながるか

公開日: 更新日:

「無精子症には精巣で精子は作られるものの、その通り道が何らかの原因で閉塞しているものを閉塞性(OA)と呼び、全体の20%を占めます。通り道に問題はないが精子がほぼ作られていないものが非閉塞性(NOA)で、こちらは全体の80%といわれています」

 治療は局所あるいは全身麻酔による精巣内精子採取術(TESE)を行う。OA患者は陰嚢を皮膚切開して精巣の白膜を切り開き、その組織の一部を採取する。一方、NOA患者は精巣の白膜を大きく開いて手術用顕微鏡で精巣内をくまなく探索して精子を採取する。前者は日帰り手術、後者は入院手術が一般的だが、小林准教授が所属する東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンターではどちらも日帰り手術で行っている。

「問題は、こうして苦労して採取した精巣内の組織を診断する病理医が不足していて、診断までに1カ月以上かかることです。なかには病理医がいない地域もあり、男性不妊症治療の普及の大きな障壁になっています」

 病理医は採取した組織片を観察し「Johnsen score」と呼ばれる精巣内での精子への分化を数値化する指標を用いて、精巣内の状態を把握する。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず