著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

立川談笑は全摘も…超低&低リスク甲状腺がんは手術しない

公開日: 更新日:

 上喉頭神経が損傷されると、女性の声が男性のように低くなり、女性には大問題。反回神経は手術で温存してもまひが起こることがあります。多くは一時的で3カ月から半年ほどで回復することが多い。それでも永続的な嗄声も含めると、その頻度は1~13・3%ですから要注意といえます。

 発声は、一般の方にも生活する上でとても大切なものです。このようなリスクを負わないためには、早期発見が不可欠。甲状腺がある首の痛みや腫れ、声のかすれ、食事ののみ込みにくさなどがあれば、耳鼻咽喉科や内分泌内科をすぐに受診することが大切です。

 早期発見で「超低リスク」「低リスク」と診断されると、ガイドラインでは全摘を「しない」ことが推奨されています。この2つは進行が比較的緩やかで、全摘をせずとも、2つを合わせた10年生存率は97%。全摘は過剰診療になる恐れがあるのです。全摘をすると、ホルモンが分泌されず、一生ホルモン剤が手放せませんから。

 それでも、「3%は亡くなっている」と心配する人もいるでしょう。そのリスクをつぶすために経過観察を続けます。経過観察を続けながら寿命をまっとうされる方は珍しくありません。元気なときに腫瘍が増大してきたら、そのタイミングで適切な手術を検討するといいでしょう。

 談笑さんは「検診を受けてください」と語っていましたが、この甲状腺乳頭がんについては早期発見の場合、手術は過剰診療になるので、このことは頭に入れておくことをお勧めします。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃