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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

さいとう・たかをさんが永眠 膵臓がんは尾道方式ならステージ0でも発見

公開日: 更新日:

 手術可能でも大掛かりで、たとえばすい臓と胆管、胆のう、十二指腸に加え、周りのリンパ節や神経、脂肪も一緒に切除する術式だと、手術時間は8時間ほど。すい臓と腸、胆管と腸、胃と腸をつなげる消化管の再建も必要で、体の負担もとても大きい。

 こうした事情から、少しでも早期に発見することが大切です。すい臓がんもほかのがんと同様に早期は自覚症状に乏しく、進行がんで発見されることが多かったのですが、最近は早期発見の方法が確立されつつあるのは朗報でしょう。

 それが、危険因子を2つ以上持つ方には積極的に超音波検査を受けてもらうこと。広島の尾道の医療機関が連携して見いだされたため、「尾道方式」と呼ばれます。

 具体的なリスクは、糖尿病、喫煙歴、すいのう胞、慢性すい炎、過剰飲酒(日本酒換算で1日3合以上)、肥満(特に30代)、すい臓がんの家族歴、慢性B型肝炎、胃潰瘍、ピロリ菌感染、歯周病の11項目です。

 このリスクの掘り起こしで超音波検査を導入した結果、尾道ではすい臓がんの5年生存率が20%に。全国平均は7.5%ですから特筆すべき成果です。5年生存率が80%とされる1センチ以下のステージ1や超早期のステージ0が相次いだことが、生存率の押し上げに一役買いました。

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