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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

在宅医療に不信感を抱く奥さまが心を開いてくれた理由は…

公開日: 更新日:

 奥さまが地域包括センターに相談し、まず訪問看護師さんを紹介され、その訪問看護師さんが当院を紹介してくれ、私たちの在宅医療がスタートすることになりました。当初は、むくみが強く、また、がんによる痛みを取りたいけど、痛みを取るにはより強い鎮痛剤を飲む必要がある。そのことに抵抗を持っており、逡巡していました。

 ところが薬に対する疑問に丁寧に答え、会話を繰り返すうちに、鎮痛剤を使用されるように。やがて痛みが取れると、かねて好きだったそばを食べに出かけたり、公園を散歩したりと、やりたいことを徐々に実現できるようになっていきました。

 そのうち、あれほど在宅医療に対して不信感を抱いていた奥さまも少しずつ私たちを受け入れてくれ、こんなお話をしてくれるようになりました。

「みなさんが帰った後、主人が『良くしてもらって』って泣くんですね。息子も同じようなことを言って、がんの発見は遅かったけど、お父さんがいい先生やスタッフと出会えてよかったねって。本人の病気はつらいけれど、いろいろな人に会えて、私もよかったなって。みなさんの思いが私たちの支えになりました……」

 こうしておよそ2カ月後には、奥さまと2人の息子さんが見守る中で息を引き取られていきました。

 会話して共感する。それもまた在宅医療に大切な仕事だと考えています。

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