著者のコラム一覧
シェリー めぐみジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家

NY在住33年。のべ2,000人以上のアメリカの若者を取材。 彼らとの対話から得たフレッシュな情報と、長年のアメリカ生活で培った深いインサイトをもとに、変貌する米国社会を伝える。 専門分野はダイバーシティ&人種問題、米国政治、若者文化。 ラジオのレギュラー番組やテレビ出演、紙・ネット媒体への寄稿多数。 アメリカのダイバーシティ事情の講演を通じ、日本における課題についても発信している。 オフィシャルサイト:https://genz-nyc.com

国連気候サミット目前に医学誌ランセットが温暖化に強い警告

公開日: 更新日:

 いま温暖化対策を進めなければ、病気や自然災害による犠牲者が激増し、世界経済も医療も逼迫する――。今月31日から英国で始まる国連気候変動枠組み条約締約国会議を前に、医学誌ランセットが気候変動と健康被害の関連性をまとめたリポートを発表し、波紋が広がっています。

 それによれば、すでに起こっている高温による農業従事者や高齢者の死亡、熱帯伝染病の拡大、洪水や台風などによるコレラなどの水媒介性感染病の増加、花粉や山火事の煙による呼吸器疾患の悪化、極度の干ばつによる飢餓などが、今世紀末までに地球のほぼ全域に及ぶとしています。

 今回の気候会議は温室効果ガス排出基準に関し、改めて各国の足並みの一致を確認するのが目的です。しかし来月1、2日に予定される首脳会議にロシアが対面での参加を見送り、中国も出欠を明らかにしていないなど、どれほどの結果を出せるか、懐疑的な声が上がっています。岸田首相は26日、会議に出席する意向を明らかにしました。

 一方、米バイデン大統領は2030年までに温室効果ガス排出を05年比の50%まで減らす(日本は13年度比で46%)という高い目標を掲げ、再生可能エネルギーによる発電に急速に転換する史上最大の環境予算法案を提出。多くの大企業が支持を表明しているにもかかわらず、バイデン政権の成功を阻みたい共和党と、石炭産業から支援を受ける一部民主党議員の反対で、大幅な縮小を余儀なくされるのではと伝えられています。そうなると基準クリアは非常に難しくなり、世界の医療、経済、政治、安全保障に影響を及ぼすことが考えられます。

 こうした排出国が二の足を踏む間に、犠牲になるのは開発国や貧困層、そして何よりも地球の未来を生きる幼い子供たちであることを、ランセットのリポートは強く警告しています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  2. 2

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  3. 3

    佳子さま31歳の誕生日直前に飛び出した“婚約報道” 結婚を巡る「葛藤」の中身

  4. 4

    国分太一「人権救済申し立て」“却下”でテレビ復帰は絶望的に…「松岡のちゃんねる」に一縷の望みも険しすぎる今後

  5. 5

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  1. 6

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  2. 7

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  3. 8

    清原和博 夜の「ご乱行」3連発(00年~05年)…キャンプ中の夜遊び、女遊び、無断外泊は恒例行事だった

  4. 9

    「嵐」紅白出演ナシ&“解散ライブに暗雲”でもビクともしない「余裕のメンバー」はこの人だ!

  5. 10

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢