著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がんの最期 自宅で穏やかに迎えるためのプランを考えておきたい

公開日: 更新日:

 男性は3人に2人、女性は2人に1人ががんになります。世界有数のがん大国ですから、がんで迎える最期について考えておくことは大切です。その点で、国立がん研究センターの調査を見ると、心もとない現実が浮かび上がります。

 調査は、2017年と18年にがんで亡くなった患者の遺族が対象。19年と20年に郵送でアンケート調査を行い、亡くなる1カ月前からの療養状況などについて調べた結果(遺族調査)です。

 5万4000人余りの回答の中、「患者は痛みが少なく過ごせた」は47.2%で、「からだの苦痛が少なく過ごせた」は41.5%。半数以上が痛みに苦しみながら亡くなるのが現実です。

 がんの痛みに対する処置は、緩和ケアといいます。一般的な鎮痛剤では対応しきれず、モルヒネに代表される医療用麻薬の使用が中心です。その使用量は、米国の14分の1、ドイツの20分の1。遺族調査の結果は、緩和ケアが不十分な現実を反映しています。

 調査の患者像は、死亡時に80歳以上だった割合が5割超。高齢ゆえ介助を必要としたのは約8割、認知症の合併は13%に上ります。がん以外の病気による痛みや認知症の影響もあるでしょうが、それでも緩和ケアが不十分です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋