著者のコラム一覧
池田和彦新宮アゼリア薬局・管理薬剤師

1973年、広島県広島市生まれ。第一薬科大学薬学部薬剤学科卒。広島佐伯薬剤師会会長。広島市立学校薬剤師、広島市地域ケアマネジメント会議委員などを兼務。新型コロナワクチンの集団接種業務をはじめ、公衆衛生に関する職務にも携わる。

「痛み」に対して即効性が期待できる3つの漢方薬

公開日: 更新日:

 腰痛に使われる漢方薬の中でも比較的即効性があるとされる3剤を紹介します。

「苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)」は、茯苓(ブクリョウ)、乾姜(カンキョウ)、白朮(ビャクジュツ)、甘草(カンゾウ)と4種の生薬から成ります。「苓」「姜」「朮」「甘」の1字ずつをとって名付けられている漢方薬です。

 漢方における体質・体力・抵抗力・症状の表れ方などの個人差を表す「証」でいうと、「虚証」「寒証」「湿証」の方に向けた方剤で、体を温め、足腰の痛みをやわらげる効果があり、特に腰から下の冷えが強い場合に適します。体力は中等度以下で、頻尿傾向がある腰痛症の方に使用することが多いです。下半身に水滞があり、腰の冷えによって痛みを伴うものを使用目標としていて、どちらかといえば鈍痛に有効といえるでしょう。

「麻杏薏甘湯(マキョウヨクカントウ)」も、薏苡仁(ヨクイニン)、麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)、甘草の4つの生薬で構成され、苓姜朮甘湯と同様それぞれ1文字ずつをとって名付けられています。

 腰や背中あるいは全身のしびれ、だるさの症状があるもので、主に関節や筋肉の痛みに対して使用されます。神経痛、関節痛、筋肉痛に効果を期待でき、特に麻黄と薏苡仁が痛みやしびれを改善するといわれています。

 急性の腰痛に使われる漢方薬として「治打撲一方(チダボクイッポウ)」もあげられます。解熱鎮痛薬のNSAIDs(非ステロイド性消炎薬)の使用によって生じる消化管や腎機能障害の副作用リスクを回避する目的として処方される場合もあります。打撲や捻挫などに用いられるケースも多く、外傷性の腰痛が適応となる場合もあります。

 構成生薬は、桂皮(ケイヒ)、川芎(センキュウ)、川骨(センコツ)、樸樕 (ボクソク)、甘草、大黄(ダイオウ)、丁子(チョウジ)の7種です。桂皮や丁子は痛みを抑える働きがあるとされ、大黄については腫れをやわらげる効果が期待できます。そのほか、川芎や川骨には血液の流れに関わる作用があり、これらの生薬の相乗効果によって急性の腫脹・疼痛(とうつう)に著効を示すこともあります。

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