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永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

血液型は肺がんの予後に影響する 発症リスクとは無関係だが…

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 ところが、非小細胞肺がんになると、粘液中の組織血液型抗原が減少、あるいは消滅してしまうのです。A・B・H抗原は、その共通の前駆体からFUTと呼ばれる酵素グループによって作り出されます。しかし非小細胞肺がんでは、それらの酵素の遺伝子が消失してしまい、結果として組織血液型抗原が合成されなくなるのです。

 組織血液型抗原の濃度と患者の予後の関係を調べたところ、とくにA抗原で負の相関が見つかったのでした。つまりA型とAB型の患者では、粘液中のA抗原が減っているほど、予後が悪いという結果が得られたのです。一方、B型やO型の人ではそういう傾向は見られません。

 まとめると、非小細胞がんのリスクは血液型とほとんど無関係ですが、なってしまうと予後リスク(死亡リスク)はA型とAB型の分泌型の人が不利、ということが言えそうです。実際、2015年に名古屋大のグループが発表した論文でも、A型とAB型は、5年全生存率でも無病生存率(5年間再発なし)でも、O型やB型と比べてかなり不利だとしています。

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