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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

予後宣告は3カ月…自宅で思う存分の「口げんか」すら愛おしい

公開日: 更新日:

「もう私だめ、こんなにつらいことできない」

 そう言って部屋を飛び出していく奥さまを尻目に、旦那さんは布団をかぶってただ黙っているのみで、私もどうすればいいのか困惑したことを覚えています。

 後から聞いたことですが、当初、患者さん自身が奥さまの苦労を考えて入院も考えたそうです。しかし予後宣告を3カ月とされ、残された時間を自宅で過ごしたいという思いが高まり、延命措置も断って自宅で最期まで過ごすことを選ばれたのでした。

 ひょっとして、そんな奥さまとこれまで通り口げんかをして、自分の家で過ごしたいという思いだったのかも。自宅にいないと家族とけんかもできないのですから。

 1カ月ほど経ったある日、奥さまが私にぽつり。

「一番可哀想なのは声が出ないことね。言いたいことも言えないから」

 看取られるその時まで、思う存分口げんかして欲しい。そう願わずにはおられませんでした。

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