10月から先行運用される「電子処方箋」は患者にどんなメリットがあるのか

公開日: 更新日:

「さらに、患者さんにとって利便性の向上につながっていくと考えられます。コロナ禍で普及が進んだオンライン診療やオンライン服薬指導がもっと増えてくれば、患者さんは自宅でオンライン診療を受診して電子処方箋を出してもらい、薬局のオンライン服薬指導を受けて、自宅に薬が配送されるようなサービスが実施されるようになるでしょう。薬を処方してもらうのに長い時間がかかるようなケースが減るうえ、外出が難しい高齢者などの患者さんや、医療機関や薬局が少ない地域の患者さんにとっては大きなプラスになるといえます」

 薬の処方がすべてオンラインで完結する──電子処方箋の導入は、その仕組みづくりのための第一歩といえる。

 ただ、完全なオンライン処方にはまだいくつも課題があるという。

「対面で薬を処方する際、片方の足を引きずっているなど、患者さんの“異変”を薬剤師が直接目にして気付くケースがあります。そうした場合、担当医に伝えたり、薬を見直すなどの対処が必要です。電子処方箋を皮切りにオンライン処方が進んでいくと、医師や薬剤師が目で見て判断する機会が減ってしまいます。本当は診察が必要な患者さんを見逃してしまう可能性もあるのです。また、薬の中には定期的に検査を受けながら服薬しなければならないものもありますし、体調や季節によって薬の効きが変化して見直しが求められる場合もある。どこでもオンラインのみで薬が処方されるようになると、そういったケースを見過ごしてしまうリスクも考えられます」

 電子処方箋の運用については、まだ具体的な対象や範囲がはっきりしていない状況だというが、近い将来に予想される完全オンライン処方で深刻なトラブルが起こらないよう、いまからしっかり議論していく必要がありそうだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった