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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

心臓移植はドナー不足…「再生医療」の進歩に期待したい

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 重度の心臓病により移植しか助かる方法はない──そう診断された幼い子供が、米国に渡航して心臓移植手術を受けるケースが相次いでいます。

 日本では1997年に臓器移植法が施行され、脳死と判定された人からの臓器移植が可能になりました。続いて2010年の改正臓器移植法によって15歳未満の子供からの脳死臓器提供も認められるようになりました。しかし、国内ではずっとドナー不足が続いていて、22年12月時点では国内で心臓移植を待っている子供が44人いる状況です。そのため、募金を集めて数億円もの費用をかけ、海外での移植を希望する人が後を絶たないのです。

 親として、わが子の命が助かるなら、わらにもすがりたいという気持ちはよくわかります。幼い子供を救うため、善意から寄付をする方々の思いも理解できます。

 ただ、一方では疑問の声があるのも事実です。国際移植学会が08年に出した「イスタンブール宣言」によって渡航移植は原則禁止とされ、世界的に臓器移植は自国で賄うという流れがあります。海外の一部地域では、貧しく弱い立場の人に金銭と引き換えで移植のための臓器を提供させる“臓器売買”の問題が残っているため、公平な臓器移植を行うことを目的に宣言が出されたのです。実際のところ、米国では渡航移植は否定されてはいませんが、そうした状況での他者からの募金に頼った渡航移植に否定的な意見も散見されます。確かなエビデンスが構築されていて、現時点で受けられる最善の治療を積極的に行っても寿命を得られなかった場合、誰しもが持っている“運命”を受け入れるべきではないか、という声も聞こえてきます。

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