著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

「便をやわらかくする」と「腸を動かす」2つの効果を併せ持つ下剤も登場

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 消化液のひとつである胆汁酸は、通常だと胆嚢(たんのう)から腸管内に分泌された後、大部分が大腸に到達する前に体内へ再吸収されます。「エロビキシバット」という成分のクスリは、この胆汁酸の再吸収を抑え、結果として胆汁酸の多くが大腸に到達するようになります。胆汁酸には水分を引っ張る作用があるため、大腸の中の水分量が多くなり、「便がやわらかくなる」効果を発揮します。また、胆汁酸には腸の動きを活発にする働きもあるため、「腸を動かす」効果もあります。効果は比較的速やかに発揮され、副作用として腹痛などがありますが、「ひどい下痢になった」という声はあまり聞いたことがないクスリです。

「リナクロチド」という成分のクスリは、大腸の機能を促進する効果を持った下剤です。結果としては「腸を動かす」クスリのひとつにはなりますが、正しくは「腸の動きを整える」クスリです。リナクロチドの注目すべき点は、大腸の痛覚過敏を抑える作用も併せ持っていることで、便秘だけでなく腹痛を改善する効果もあります。これらの特徴から、慢性便秘症だけでなく、過敏性腸症候群(便秘型)にも用いられます。

 エロビキシバットとリナクロチド、どちらにも共通する注意点があります。それは、空腹時、つまり食前に内服しなければならない点です。ここに煩わしさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 生活習慣を改善しても便秘が治らない場合には、こういった下剤を使う手もあります。やっぱりスッキリ出したいですよね?

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