著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

不整脈の薬で糖尿病が予防できる? 米国医師会雑誌で報告

公開日: 更新日:

 糖尿病には1型と2型の2種類があります。このうち、1型糖尿病というのはウイルス感染などをきっかけに膵臓(すいぞう)に炎症が起こって、小児のうちからインスリンというホルモンの分泌が高度に低下。インスリンの注射が必要となるタイプの糖尿病です。進行してしまうと、インスリンの注射と膵臓の移植以外、治療法はありません。しかし、初期のうちに診断することにより、その進行を予防することができないかと研究が続けられています。

 最近、不整脈や高血圧の治療に使用する「ベラパミル(ワソラン)」という薬に1型糖尿病の進行を遅らせる効果のあることが報告され、注目されています。

 動物実験の結果によると、ベラパミルには細胞の壊死(えし)を誘導するタンパク質の阻害作用があるので、それが膵臓の細胞の減少を予防するような働きがあるのでは、と考えられているのです。

 今年の米国医師会雑誌に発表された臨床試験の結果では、1型糖尿病の初期の段階でベラパミルを使用すると、使用しない場合と比較して1年でインスリンの分泌が30%増加し、治療前からの低下も見られなかったと報告されています。これはまだ短期間の試験の報告なので、一般に使用されるまでには多くの検証が必要ですが、この薬を継続して使用することにより糖尿病の進行が予防可能になるかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち

  4. 4

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  5. 5

    クマと遭遇しない安全な紅葉スポットはどこにある? 人気の観光イベントも続々中止

  1. 6

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲

  4. 9

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  5. 10

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が