著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

高齢ドライバーは本当に交通事故リスクが高い? 日本全国の交通事故データを分析

公開日: 更新日:

 人口の高齢化に伴い、自動車を運転するドライバーも高齢化が進んでいます。加齢に伴う認知機能の低下は、自動車の運転能力に影響を与えると考えられています。そのため高齢者が運転免許を更新する際には、高齢者講習や認知機能検査が行われる場合もあります。また、交通事故を未然に防ぐ意味でも、自動車免許の返納が勧められる場合もあるでしょう。

 一方で、高齢者が自動車を運転できなくなると、生活に支障をきたしてしまうことも少なくありません。

 実際のところ、高齢運転者と若年運転者で、自動車事故を起こす危険性に差があるのでしょうか。自動車事故の発生や事故の特徴について年齢別に解析した研究論文が、日本疫学会誌に2023年10月7日付で掲載されました。

 この研究では、2016~20年の間に、日本全国で発生した188万8652件の交通事故が分析されました。解析の結果、中年以降の年齢では、運転者の年齢が高くなるにつれて交通事故のリスクが増加していました。

 しかし、男性の免許保有者10万人当たりの年間交通事故数は、18~19歳の運転者が1811件と最も多く、次いで20~24歳の運転者で1034件でした。一方、75~79歳では548件、80~84歳では595件、85歳以上では661件と、高齢運転者では、若年運転者と比べて事故リスクが低いという結果でした。女性についても同様の結果が認められたうえ、運転者が高齢であるほど、交通弱者が犠牲になる件数が低下しました。

 論文著者らは「中年以降では、運転者の年齢が高くなるにつれて交通事故リスクが増加したものの、高齢運転者の事故リスクは、若年運転者の事故リスクを上回ることはなく、事故の被害者に大きな傷害を負わせるリスクも低い」と結論しています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々