著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

インフルエンザの抗ウイルス薬は症状の持続を1~2日ほど短くする

公開日: 更新日:

 今冬はインフルエンザが爆発的に流行しています。新型コロナウイルス感染症の影響か昨年まではインフルエンザに罹患する人がほとんどいませんでしたが、今年はいつも流行が始まる11月下旬ごろよりもかなり早いタイミングでインフルエンザが流行し始めました。

 インフルエンザはウイルスによって引き起こされ、そのタイプによってA型、B型、C型がありますが、流行するのはA型とB型です。症状は少し違っていて、A型は高熱、せきや鼻水などの上気道症状などのいわゆるインフルエンザ症状が表れるのに対し、B型はそれらに加えて下痢や吐き気、腹痛などの消化器症状を呈するケースがあります。

 インフルエンザの治療の基本は対症療法です。高熱に対しては解熱薬、上気道症状に対してはせき止め薬やアレルギーの薬、吐き気に対して吐き気止めの薬……といった感じです。ただ、場合によっては抗ウイルス薬による治療が選択されることがあります。

 インフルエンザに用いられる抗ウイルス薬には複数の成分のものがあり、剤形にも経口内服薬、吸入薬、そして注射薬があります。以前は経口内服薬が使われていましたが、今は吸入薬が主流だと思います。これらの抗ウイルス薬はいずれも「ウイルスの増殖を抑制し、インフルエンザ症状の持続時間を短くする」ことを目的としています。つまり、クスリの力で体の中からウイルスを排除するわけではなく、あくまで「それ以上は増えないこと」を目的としているわけです。

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