著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

「元気だから放っておいて!」と主張する91歳女性に提案した案は…

公開日: 更新日:

「薬の影響で黒より緑っぽい。便が出た後に少しヒリヒリするので、家にあるクリームを塗っているんですけどいいですか?」(本人)

「いいですよ」(私)

「あとちょっと風邪っぽい感じで、薬局で漢方を買ったんですが、これでいいですか?」(本人)

「いいですよ、ご自分で調整されているんですね。これで効かなかったら処方お出ししますので」(私)

「はい。少しずつ元気が出て、今日は洗濯を自分でしたんですよ」(本人)

「いいですね」(私)

 時に自信に満ちあふれ活力が増しているご様子。元看護師として自分の意見をはっきりと我々に伝えることも。また不自由なく歩行し好きなものを食べることもされており、朝食は近所のカフェに行き、小さなお子さんを持つお母さんと、小児科の経験から子育てのお話をされることを楽しみにされていました。ですが次第に認知症の状態が進むにつれ、日に日に頑固な性格はさらに強くなっていかれQOL(クオリティーオブライフ=生活の質)の低下は確実に進んでいきました。

 それでも私たちは柔軟にイレギュラーな対応をし、患者さんの思いに可能な限り配慮するように努めました。

 それもひとえに患者さんにとって充実した生活を支えることは、在宅医療の重要な役割だと考えるからです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも