著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

また2カ月生き延びた…通院で定期検査を受けるがん患者の心境

公開日: 更新日:

 2年ほど前に大腸がん手術を受けたDさん(73歳・男性)のお話です。

 定期の病院受診のため、寒いなか朝早く家を出ました。隣の空き家の庭の木が赤く咲き始めていました。「あるじなしとて春な忘れそ、か……」とつぶやいて、駅まで送ってくれる妻の車に乗り込みます。今にも雨か雪が降りそうでしたが、傘はリュックにしまったままです。電車は定刻に来ました。30分弱ほど乗っていつもの駅で降り、今度は傘を差して病院まで歩きました。

 受付の機械に診察券を入れると、予定票が出てきます。まずは採血です。移動してから採血室の前の受付機に診察券を入れたところ、800番台……。相変わらず患者が多い。室内と廊下の椅子に座って、たくさん待っています。今は740番のあたりの方が採血されている。まだまだ待たなければならないのはいつものことです。

 採血室には15ほどのブースがあり、それぞれに採血の技師さんがいます。掲示は「待ち時間20分」となっていました。

 25分を過ぎた頃、立て続けに番号が進みました。「815番の方」と呼ばれ、「はい」と手を挙げてその番号枠に行きます。名前と生年月日、採血試験管のラベルを確認し、右腕をまくりました。「血管がとれにくくてすみません。肘窩の所からなかなかとれないのです」と言うと、技師さんは「はい、見せてください。ん~そうですね」と答えながら前腕の中ごろを指し、「ここでやってみましょう」と言われました。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  2. 2

    大谷 28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」とは?

  3. 3

    学力偏差値とは別? 東京理科大が「MARCH」ではなく「早慶上智」グループに括られるワケ

  4. 4

    ドジャース大谷の投手復帰またまた先送り…ローテ右腕がIL入り、いよいよ打線から外せなくなった

  5. 5

    よく聞かれる「中学野球は硬式と軟式のどちらがいい?」に僕の見解は…

  1. 6

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  2. 7

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  3. 8

    長嶋茂雄さんが立大時代の一茂氏にブチ切れた珍エピソード「なんだこれは。学生の分際で」

  4. 9

    (3)アニマル長嶋のホームスチール事件が広岡達朗「バッドぶん投げ&職務放棄」を引き起こした

  5. 10

    米スーパータワマンの構造的欠陥で新たな訴訟…開発グループ株20%を持つ三井物産が受ける余波