「血糖トレンド」が重要…糖尿病の合併症はHbA1cを下げるだけでは回避できない

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 通称“アコードショック”と呼ばれる研究結果がある。2008年、米国国立衛生研究所(NIH)は大規模無作為化試験ACCORD(アコード)試験の一部を中止。

 この研究は、糖尿病を発症して長く、かつ脳梗塞心筋梗塞(心血管イベント)をすでに発症しているか、その危険因子を複数持っている2型糖尿病患者1万251人を対象に、血糖、血圧脂質を厳格にコントロールすることで、心血管イベントのリスクが減るかどうかを明らかにするために行われたものだ。

「ところが、HbA1cの目標値を従来より低く設定し、平均6.4%まで下げたのに(通常血糖管理群は7.5%)、心血管イベントによる死亡率が上がったのです。厳格な血糖管理でなぜ死亡率が上がるのか? 世界中の糖尿病専門医に衝撃が走りました」

 アコードショックを踏まえ、その後の研究で明らかになったのは、「糖尿病合併症を予防するためにHbA1cを低くすべきだが、ただ低くするだけではなく、血糖変動がどうなっているか注意しなければならない」ということ。血糖変動とは、1日のうちで血糖値がどのように変動しているかという傾向(=血糖トレンド)だ。

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