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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

「水」が病気予防や健康維持に有効なのは本当なのか

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 ここ40~50年の間で、日本人の健康意識は大きく変わったという印象があります。病気予防や健康維持をはじめ、アンチエイジングなどにも関心を持つ人が増えていますし、実際、野菜の産出額が2兆2294億円(2022年)なのに対して、健康食品・サプリメントの市場規模は約1兆2400億円(24年度)で、1人当たりの購入金額は右肩上がりを続けているとされています。

 そうした健康意識の高まりの象徴が「水」でしょう。言うまでもなく、水はわれわれが生命を維持するために欠かせません。ヒトの体は全体重の約60%が水分で構成されているうえ、摂取した水分は血液、尿、汗などの体液として全身を循環し、栄養素や老廃物の運搬、体温調節などさまざまな役割を担っています。そのため、水分摂取はわれわれの健康にとってとても重要なのです。

 そして、われわれが日頃から摂取する水分は、ここ40~50年で大きく変わりました。かつては井戸水を飲んでいる家庭もありましたが、上下水道が整備されてからは蛇口をひねれば出てくる水道水が一般的になりました。さらに近年は、水道水が含む塩素や不純物を除去する家庭用の浄水器や整水器を使う家庭が増え、ポット型や蛇口直結型などさまざまな形で広く普及しています。また、ペットボトルのミネラルウオーターや、家庭用のウオーターサーバーなど「水を購入して飲む」という習慣も当たり前になりました。

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