睡眠時無呼吸症候群のCPAP療法が続けられないなら「舌下神経電気刺激療法」

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 睡眠中に無呼吸や低呼吸を繰り返す睡眠時無呼吸症候群(SAS)。日中の眠気が強くなることから交通事故の発生率が高まることがわかっている。先日も、大型バス横転炎上事故にSASが関連していたことを示す調査結果が発表された。

 2022年8月、名古屋の高速道路で大型バスが横転して炎上、乗客と運転手の2人が死亡、7人が重軽傷を負った。国交省は今年3月、運転手がSASの影響で居眠り運転をしていた可能性が高いと発表。運転手は事故前に「SASの恐れが非常に高い」と指摘されていたが、検査や治療は受けていなかった。

「海外の調査ではSAS患者の交通事故発生率は健常者の約7倍。さらにSASは高血圧動脈硬化、冠動脈疾患、心不全のリスクを上げ、未治療や重症患者ほど死亡率が高いという報告がある」

 こう言うのは順天堂大学医学部付属順天堂医院耳鼻咽喉・頭頚科准教授、睡眠・呼吸障害センター副センター長の井下綾子医師。SASの代表的な症状であるいびきがあるなら、事故や重大病に至る前に医療機関で検査を受け、SASなら治療を開始するべきだ。

 中等症以上のSASには、鼻に装着したマスクから圧力をかけた空気を送り込み、気道を広げて無呼吸を防止するCPAP療法が行われる。1晩4時間以上、使用率70%以上が目標だ。低侵襲の非常に良い治療法だが、問題は「煩わしい」などの理由から、継続できない人が一定数いること。

「CPAP療法の中止率は34.1%。この数字は1996年から2011年までの長期の調査でほぼ横ばいで、代替治療の登場が待ち望まれていました」(井下医師)

 そんな中、2021年に保険適用となった新治療が「舌下神経電気刺激療法」だ。鎖骨下に手術でパルスジェネレーターを埋め込み、顎下の舌下神経に電極をはめ込む。パルスジェネレーターと電極はリードでつながっている。就寝前にシステムをオンにすると、呼吸に同期して微弱な電気が舌下神経に流れ、舌を前方へ押し出して気道を確保し、無呼吸を起こさないようにする。

 昨年5月、この治療を始めたのがお笑い芸人のパンサー・菅良太郎氏だ。SASでかかっていた主治医の紹介で井下医師の外来を受診した時、CPAPの一晩の平均使用時間は1時間43分、4時間以上使用率は18%だった。

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