認知症を予防する…その布団干しこそが、立派な「運動」
体の筋肉を使えば脳へ刺激が送られる
身体機能の低下を示すサインには、次のようなものがあります。
・歩くスピードが遅くなった
・速歩きをすると足がもつれたり、つまずいたりしやすい
・ペットボトルのふたを開けにくくなった
・ふらついて転倒することがある
・階段を上るのがつらくなった
・体を動かすと、すぐ疲れるようになった
・姿勢が悪くなってきた
脳でも体でも、使う頻度が少ない器官は、どんどん衰えていきます。これを廃用性退化といいます。1つでも該当するようなら、身体機能の低下を自覚し、何らかの対策を講じるべきです。
体の筋肉を使えば、脳へ刺激が送られます。脳の神経細胞が刺激されれば、「意・情・知」の働きがアップします。
「意」は意欲、「情」は感情、「知」は知能。人間の精神活動の基本で、土台が「意」、その上が「情」、一番上に「知」が乗っていて、意欲があるから感情が動き、知能を使う活動に結びつくのです。
体、脳、そして「意・情・知」は1つの輪としてつながっています。
例えば、認知症の講演会などをすると、参加者は比較的高齢の方が多いですが、遠方から公共交通機関を乗り継いでいらっしゃる方もいて、みなさんお元気。
認知症対策について知りたいという意欲があり、知ったことを面白いと感じ、どうやって日常生活に取り入れようかと考える感情や知能がある。あわせて、講演会へ出かけてみようという気力、体力がある。身体機能が衰え、「歩くと疲れるから、出かけたくない」となってしまえば、「意・情・知」も衰えていくでしょう。
身体機能を衰えさせないためには、体を動かすしかありません。きついノルマを課すと、三日坊主になる恐れがありますから、自分ができる範囲のことをやってくださいね。
布団干し、草むしり、窓拭きなど、家事も運動になると前述しました。周りに人がいない環境なら、貧乏ゆすりもお勧めです。つま先を支点にした小刻みな膝の上げ下げが、太ももの運動になります。かかとを支点にして、つま先を上げ下げするのもいいですね。テレビを見ながらやるのはどうでしょうか。
東京都内在住の60代の男性は古本好き。都内屈指の古本街である神保町へリュックを背負って出かけ、何軒も古本屋をはしごし、馴染みの喫茶店でコーヒーを飲みながら買った古本を読む。神保町へ出かける日は、歩数計が2万歩を記録することもあるそうです。「好き」と結びつけると、運動も苦なくできます。