脳はどのように老廃物を排出しているのか…グリア細胞と睡眠がカギ
■アインシュタインの脳にはグリア細胞が2倍多かった
グリア細胞には、ほかに中枢系の免疫を担当するミクログリア細胞がある。中枢神経系のなかを移動しながら、サイトカインの放出、異物や死んだ細胞の貪食、シナプス(神経細胞間や他細胞間で形成される、シグナル伝達などの神経伝達に関わる接合部分)の剪定などを行う。
「グリア細胞のなかで最近とくに注目されているのが『アストロ細胞』です。グリア細胞のなかで最も数が多く、星の形などをしています。神経細胞に栄養を与え、過剰となった神経伝達物質などを速やかに除去することで、ニューロンの活動と生存をサポートしています。グリンパティックシステムに関わっているのもアストロ細胞です」
かつてはニューロンの梱包材に過ぎない黒子役として扱われてきたグリア細胞だが、いまでは脳の主役として注目されている。実際、20世紀最大の天才のひとり、アインシュタインの脳に関して興味深い報告がなされている。
アインシュタインの脳は亡くなった病院の病理医により盗まれ、40年以上経過してから天才の脳の特徴を知ろうと何人かの研究者が切り分けられ研究され、複数の論文が発表されている。なかには47歳から80歳の男性から採取した11の脳の同一部位からなる対照群のデータと比較したものがある。ニューロンは何ひとつ差異は見られなかったが、グリア細胞の数は2倍近く多かったという。 この報告に対して、アインシュタインの死亡時の年齢が76歳なのに対照群に年齢幅があったこと、対照群の脳は新鮮なのに対してアインシュタインの脳は40年以上前のものだったこと、などから科学的分析ではないとの批判がある。