レビー小体型は「脳神経内科」か「精神科」かで最初の治療が異なる
高齢うつ病…抗うつ薬を使っているがなかなか良くならない
レビー小体型では、一般的にうつ症状も出やすいです。うつ症状がメインの時は、高齢者に多い高齢うつ病もあるため、認知症の診断がつかないケースがあります。
さらにうつ症状に幻視・幻聴が加わっている場合、高齢者の妄想性障害や統合失調と診断されて、その治療が長きにわたり行われることも。
また、レム睡眠行動障害においても、睡眠障害だけが独り歩きし、睡眠薬だけが出されて終わり、という話もよく耳にします。
最初のうちは認知症と診断されていなくても、認知症に詳しい医師であれば、症状の経過からレビー小体型やアルツハイマー型が疑われるような場合は、それに応じた治療を行います。ただ、残念ながらそうでないこともあります。医師が「うつ病」「統合失調症」「睡眠障害」といった診断にとらわれ、その結果、新たな治療へと広がっていかず、症状が改善しない──。さまざまな症状が出てくるレビー小体型は、適切な治療に結びついていない方も多くいると考えられます。
適切な診断のためには、メインの症状で診断をつけるのではなく、他の面にも目を向け、背後にあるレビー小体型を見極めてもらう必要があります。
例えばご家族が高齢者うつ病と診断されていて、抗うつ薬を適切に使っているけど症状の改善が見られない場合は、認知症も疑って、別の医師の受診も考えた方がいいかもしれません。できる限り早めのタイミングで行動を起こすことをおすすめします。
多くのレビー小体型ではアルツハイマー型が併存しているので、アミロイドβの蓄積が認められ、認知症の程度が軽症であれば、アルツハイマー型認知症の新薬の投与対象にもなるかもしれませんが、別の病気の治療のまま症状が進行してしまえば、新薬の対象の条件から外れてしまうからです。
さて、アルツハイマー型では非薬物治療が非常に重要であるということはこれまで何度も述べてきた通りですが、レビー小体型においても同様です。認知症で異変が起きている脳の部分はほんのわずかですので、残存する機能の維持のために適切な運動、2つ以上のことを同時にするデュアルタスクなどを日常に取り入れてください。
また、レビー小体型でパーキンソン病と同様の症状が出ている場合、歩き方が小刻みになるなどして活動量が減り、結果、筋力が低下し、フレイルのリスクを高めます。フレイル対策をいかにするかも重要な課題です。