著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

俳優の浜畑賢吉さんは81歳で他界…人生100年も可能になる前立腺がんの転移治療

公開日: 更新日:

 俳優・浜畑賢吉さんの命を奪ったのは、前立腺がんでした。テレビドラマや舞台などで活躍されていましたが、がんで闘病され、今月2日に息を引き取ったそうです。享年81。

 前立腺は尿道を囲むクルミほどの小さな器官でそこにできる腫瘍が前立腺がんです。この連載で何度となく紹介しているように、前立腺がんはがんの中では比較的おとなしく、悪さをしないことも珍しくありません。前立腺がんのガイドラインによれば、70代で2割、80代で3割、90代で5割は、前立腺がんが生命に影響せず、別の病気が死因になっています。

 命に影響しないがんをラテントがんといいますが、浜畑さんのタイプは悪さをしたということです。何が言いたいかというと、治療のタイミングと治療法の選択です。前者ならすぐに治療する必要はありません。それで手術をすると、その後遺症で尿漏れやEDのリスクが高く、とても生活の質が悪くなります。特に尿漏れはパッドやオムツが必要になり、かなりつらい。術後半年までに改善しないと長期化しやすいので厄介です。つまり、前立腺がんにおいては、悪くなりそうなタイミングで適切な治療をすることが重要になります。特に早期の手術は、過剰治療になりかねません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い