(28)実家に残された高齢猫4匹は東京へ連れて帰ることに決めた

公開日: 更新日:

 その責任の重さを引き受けるには大きな決心が必要だった。しかし、母がもうこの家に戻ってくることはないだろう。思いきるしかない。

 猫たちをキャリーケースに入れて飛行機で東京に連れて帰る段取りを考え始めた。東京の猫たちに会わせる前に健康診断も済ませておかなければならないだろう。空港までどうやって移動するか、そして羽田空港からどうやって自宅に運ぶか。目の前の片付けより先に、命あるものの明日のことを私は考えていた。

 相談する中で「実家の外に放していけばいいのに」とあっさり言った人がいた。とんでもない。私は怒り狂った。家猫を外に出すことは、すなわち死を意味する。そんな無責任なことは絶対にやってはならないし、遺棄は犯罪だ。何よりも、母がかわいがっていた猫たちにはずっと幸せに暮らしてもらいたかった。

 友人たちの助けも借りながら、4匹の猫たちを飛行機ですべて東京に運び終えるまでに、決心から2週間かかった。

 まずは安心したが、これから父の逝去後の事務作業と、母の施設探しを並行しておこなわなければならなかった。 (つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八王子実践・河本ロバート監督「ライブや家族旅行も、事前に相談があれば休ませます」

  2. 2

    萩本欽一〈34〉私の“運”論 大谷翔平のカネを使い込んだ通訳に「小さな声で『ありがとう』」

  3. 3

    中居正広氏が熊本地震被災地を支援と報道 引退後も変わらないチャリティー精神と芸能界復帰の可能性

  4. 4

    高橋成美「渋幕→慶応」だけでは読み解けないズバ抜けた回転の速さ 世界選手権ペアで日本人初の銅メダル

  5. 5

    東京・赤羽、先行する第1地区に110メートル級、せんべろの1番街が丸ごと潰される危機

  1. 6

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 7

    国害SNSを告発 森山裕・自民党前幹事長「高市おろし」キーマンに急浮上の裏…不快感に国境なし

  3. 8

    年金生活者を悩ませる墓問題 維持費も「墓じまい」の費用も払えない人はどうすればいいのか?

  4. 9

    「墓じまい」に悩むシニア 費用や遺骨の始末より問題になる「家族の愛憎問題」

  5. 10

    松本若菜「ジュラシック・ワールド」吹き替え《棒読み》論争再燃…暗雲漂う主演ドラマに新たな逆風