(37)これからは専門家に頼れる──ほっと肩の力が抜けた
ケアマネジャーの資格制度は、介護保険制度が始まった2000年に創設された。かつて、行政がサービスを一方的に決める制度から、利用者が自ら選ぶ仕組みに移行する中で、ケアマネジャーは中立的な調整役としての役割を担うために生まれた。
母の入居予定の施設では、普段から連携しているケアマネジャーがいるとのことで、希望すれば紹介してくれるという。施設のことを理解している人がいるならと、その申し出をありがたく受けることにした。調べてみたところ、ケアマネジャーとの相性は、介護を続けるうえでの心理的な負担を大きく左右するという情報が見つかった。合わなければ変更もできるというのは安心材料だった。
しかし何よりも大きかったのは、「これからは専門家に頼ることができる。すべてを自分で調べて判断しなくてもいい」という安堵だった。母が前年に熱中症で倒れ、翌年の1月に父が実家で亡くなっていたのが見つかってから初めて、ほっと肩の力が抜けるような気がした。年度が変わり、4月になっていた。 (つづく)
▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。