健康は腸内の多様性に左右される…ヒトは細菌で生かされている
だからこそ、ヒトの腸内マイクロバイオータはより多様な細菌で形成されるのが望ましい。ただし、腸内マイクロバイオータの組成は3歳くらいまでに完成され、後から取り込んだ細菌は、腸内にいる間は働くことができるものの長期間定着できずに排泄される。つまり、腸活はまずは3歳までに正しく行うことが大切なのだ。
「生まれたばかりの赤ちゃんは指やおもちゃをしゃぶり、布やタオルなどなんでも口にする。若い親はそれをやめさせようとしますが、それが細菌の体内の取り込みにつながり、腸内マイクロバイオータの多様性につながることを忘れてはいけません。田舎では牛やヤギ、ペットや植物など多くのものに自然と触れて生活できます。ところが触れ合う対象が限られる都会はそれができません。そのため意識して赤ちゃんがさまざまなものに触れるよう努める必要があります。都会のお母さん方はきれい好きで細菌に神経質になっていますが、ほどほどにすることです」
■同じ物を食べ続けてはいけない
3歳以降はいくらヒトの役に立つ細菌を腸内に定着させようとしても難しい。実際、健康なヒトの腸内細菌を含む便を患者の腸に移植することで、腸内環境を整えて病気の改善を目指す「糞便微生物移植」の成功率は必ずしも高くないことが、これを証明している。