著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任、薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

抗がん剤の「休薬期間」は効果と安全性のバランスを考えて設定されている

公開日: 更新日:

 ここまで8回かけてがん化学療法と用いられるクスリについて紹介してきました。今回は、がん化学療法で設定されている「休薬期間」についてお話しします。

 経験したことがある人はおわかりだと思いますが、ほとんどのがん化学療法は連日クスリを投与するわけではなく、1日から数日投与した後にクスリを投与しない休薬期間が設定されています。

 以前も触れたように、正常な細胞とがん細胞の違いは、「細胞増殖のブレーキが正常か壊れているか」が主なもので、殺細胞作用を有する抗がん剤はDNAの複製を抑制することでがん細胞の増殖を抑え、その効果を発揮します。がん細胞は正常な細胞に比べて増殖スピードが速いため、殺細胞作用を有する抗がん剤は主にがん細胞に対して効果を発揮しますが、どうしても正常な細胞にもある程度作用してしまい、特にもともと細胞分裂のスピードが速いところへの影響が大きくなる傾向があります。

 抗がん剤による影響が出やすいところのひとつとして骨髄が挙げられます。抗がん剤を連日投与し続けると、骨髄へのダメージも積み重なっていってしまい、白血球や赤血球、血小板が作られなくなってしまいます。この骨髄の機能(特に白血球を作る力)は3週間ほどで元通りに回復するといわれているので、それを考慮して休薬期間が設けられています。つまり、正常な細胞へのダメージを回復するために休薬期間があるのです。

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