(2)食料が消える…「飢え」が健康を蝕んでいく

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 戦時の健康を考えるうえで、避けて通れないのが食料問題だ。戦争が始まれば医薬品は不足し「薬飢饉」が起きるが、それ以上に深刻なのが食料不足だ。人は薬がなくてもある程度は生き延びられるが、食べなければ確実に衰弱する。戦争とはすなわち「飢え」との戦いでもある。

 米国医師会雑誌(JAMA)が昨年再掲載した1940年の論考「食料と戦争」は、戦争の帰趨は兵器ではなく国民と兵士の栄養状態に左右されると指摘する。栄養不足は筋力や持久力を低下させ、判断力を鈍らせる。さらに免疫力の低下により感染症にかかりやすくなり、回復も遅れる。こうした状態では、どれほど装備が優れていても戦闘力は発揮できない。

 影響は前線にとどまらない。労働者や輸送従事者、一般市民まで含め、社会全体の栄養状態が低下すれば、国家機能そのものが弱体化する。戦争は後方の生活基盤によって支えられているのである。

■徴兵検査の不合格率上昇と厚生省の誕生

 ところが戦前ですら日本国民の健康悪化は深刻だった。徴兵検査の不合格者は増加し、大正末に1000人中250人だったものが、昭和10年には400人に達した。筋骨薄弱の割合も高く、結核や梅毒など感染症も蔓延していた。

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